腰痛と鍼灸治療(3)
現代整形外科医学領域の第一線では、一昔前とは「腰痛」に対する考え方、捉え方がかなり変わってきています。
現代整形外科学の第一線の「腰痛」に対する考え方は、
「腰痛の多くは、患者さんの心理・社会的な問題が原因となっている場合が多い」
という考え方です。
腰痛の85%は、明らかな原因を特定しにくい「非特異的腰痛」と呼ばれる腰痛で、このうちの多くの例で、ストレス、不安、うつ、などの心理的要因が関係している、という考え方です。
体には全く異常がなくても、ストレスや不安に長い間さらされることによって、「下行性疼痛抑制系」という、生まれながらに人の体に備わっている痛みをブロックするシステムの働きが落ちてくることにより、痛みを強く感じてしまう、というメカニズムによって、この考え方は説明されます。
ところで、「腰痛がなかなか治らない」という人には共通点がある、と、現代整形外科学領域の第一線では指摘されています。
それは、
①腰痛に対する間違った(古い)考え方を刷り込まれ、強固に持っている。
②科学的根拠に基づく適切な治療を受けていないことが多い。
③現在、治療を受けている医療者に対する信頼感や治療に対する満足度が低い。
④自分の体に対して完全主義的な捉え方をしがちで、少しでも痛みが残ったり、以前のように戻らなかったりすると、治癒
したとは決して認められない。
ということです。
そして、
①腰痛に対して間違った考え方を持ったまま科学的根拠のない治療を受け続け
②その結果、症状もあまり改善せず
③治療者に対して不信感を募らせていき、治療にも満足できず
④完全主義的な考え方で、多少腰痛が改善しても痛みを許すことができない
という負のサイクルこそ、こういった方たちの腰痛を治りにくくしている本当の理由である、と結論づけています。
我々のような治療院でも、
「どうせ病院に行っても良くならない」
と言われる方は少なくなく、
患者さんを満足させていない整形外科の病院やクリニックが少なくないことをうかがわせます。
現実的に、腰痛で整形外科に通院する人の割合より、我々のような鍼灸マッサージ整体治療院に行く人の割合の方が多いというデータも出ています。